秋田書店は、週間少年チャンピオンやヤングチャンピオンなどを発行し、『ブラック・ジャック』『ドカベン』『がきデカ』をはじめとする数々の大ヒット作品を世に送り出してきた。
そして現在も「子供たちに正義の精神と夢の世界を取り戻し、希望を与えよう」という創業の志を基本としながら、さまざまな新しいチャレンジを試みている。
そうした積極姿勢の一方で、"人情社会"という側面を持ち合わせているのも秋田書店の大きな特長だ。恩や義というものを非常に大切に考えている。"紙がなかった創業の時代にともに苦労を重ねていたパートナーたちを大事にしなさい"という先代社長の意思が連綿と継承されているのである。
そんな人情社会の門を、サンブック社の社長・西浦が叩いた。秋田文庫の第一弾『ブラック・ジャック』(全12巻)が発行された5ヵ月後、1993年(平成5年)の暮れのことである。
その時の印象を村山氏はこう語る。「西浦社長は、とにかく熱い人だった。ウラオモテがないところも印象的でした。会社人としてでなく、一人の人間として興味をおぼえました。」。
秋田書店がビデオ事業に参入したばかりだったことも、ノウハウを持つサンブック社にとっては幸いした。幾度となく門を叩き、出版物流についての熱き想いを伝えた結果、ビデオ版『ブラック・ジャック』の返品対応を受注することになったのである。
その後、秋田文庫の『ブラック・ジャック』を牽引役として、空前の第二期まんが文庫ブームが到来する。そして、それが追い風となり、自動機械を持つサンブック社の活躍の場が一気に広がっていくことになる。
もちろん、波や風もあった。自らを「パッと考え、パッと行動するタイプ」(村山氏)ということもあり、現場では小さな衝突が少なくなかった。
「しかし、トラブルがあっても対応を早く、丁寧。その繰り返しのなかで良好なパートナーシップがつくられていきました。いまではお互いに無くてはならない存在で、言いたいことが言える最高のパートナー」と村山氏は言い切る。
「ビジネスは利益を出すことが大前提ですが、個人的には人間を好きになれればそれがベスト」と語る人情派の村山氏。好きな言葉は「一期一会」。 |